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名残惜しかったが、王は予定通り村を出た。
村人は皆、王を同志として認め、再来を心より願った。
そして王もまた、この村に来ることを熱望した。
民の温かさを感じたから。
そして、ある娘に恋をしたから。
出発の前、お王は娘に言った。
「また、会いに来ても良いか?」
娘は顔を真っ赤にしながら、こう答えた。
「お城の女性たちのような華やかさが私にはありません。教養もないし、本当に地味な女なんです。それでも良ければ、今度は一緒に狩りに行きましょう。」
この時の娘の笑顔に、王は再び心をうち抜かれたのであった。
城に帰った王とマリア。
その後の生活は、村を出る前と全く一緒だった。
退屈な、自分では何もすることが出来ない日々。
毎日、臣下の者がお見合いにと女性を連れてくる。
あの手この手で王を誘惑しようとする女たち。
しかし、王の気持ちは揺らぐことはなかった。
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