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では、なぜこの国の王族は、代々血縁で繋がれてきたのか?
有能な者がいるのであれば、その者を新国王として立てることも出来たはずだ。
その理由は、この国の思想と王族の『血』にあった。
かつて、王国が壊滅の危機に晒された時、それを救ったのが現国王の遠い先祖だったと言われている。
その血は『英雄王の血』と民に称えられ、代々王となる者にはこの血が流れていなければならない、とされてきたのだ。
一時期は王族も多く、国家も安泰だと思われていたのだが、現国王が14歳の時に、異変が起こった。
突然の父王の崩御。そしてほぼ時を同じくしての王族の病死。
病気の原因は、当時民の間でも流行った疫病であった。
この王国は、民と王族との距離感が近いことも評判の、他国から見れば『良い国』であるのだが、その壁の低さが王族を危機に陥れる結果となってしまった。
王族は、民からの感染で疫病に冒されたのである。
しかし現王だけが何故かその後も発症することなく、結果一人生き残ることになったのである。
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