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重臣たちも、民達も、残された『英雄王の血』を守るために必死になって行動を起こした。
ある者は、村いちばんの美女を王に謁見させ、またある者は村の中に追うしか入ることを許されない、女性だけを集めた建物を建設した。
しかし、王はその出会いに良い顔をすることはなかった。
「俺の人間性ではなく、俺の身体を流れる血が目当ての縁談なんて、つまらない。」
王は重臣の、そして民たちの思惑を知れば知るほど憂鬱になっていった。
14歳で王として祀り上げられ、別段厳しい勉強をするわけでもなく勝手に政を進められ、自分はお飾りから進むことが出来ないまま27になってしまった。
当時は、勉学や武術に意欲的になった時もあった。
重臣に、そのことを素直に打ち明けた。
「私も、強くなりたい。政の分かる王になりたい」と。
しかし、重臣の返答は皆、同じだった。
「陛下はご自身の血を守ることを第一にお考え下さい。国のことは我々が守りますから。その高貴な血を絶やすことだけは決してありませぬよう……。」
そんな返答が繰り返されるうちに、王は次第に無気力になっていったのだった。
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