王様のお后探し

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王が27歳、当時の結婚適齢期をゆうに超えた年齢であることで、重臣たちは焦っていた。 「なんとしても英雄王の血を後世に繋げなければ!」 「もう国内の者でなくても構わん! 陛下の目を引くような、絶世の美女を探すのだ!」 「それだけではダメだ! 後世のためにある程度の学または武芸の心得のある者でなければ!」 奔走する部下たち。 『英雄王の血を絶やすな』 この言葉は、現王の耳にも当然入っていた。 「まったく、どの者も口を開けば『英雄王の血』などと……。俺だって、添い遂げる者を選ぶ権利があるだろうに。」 臣下が奔走すればするほど、王のやる気も失われていく。 そんな王を見過ごさなかったのは、世話役であり国一番の騎士とも言われる、マリアだった。 「陛下、態度は国民に伝わるもの。お気持ちは分かりますが、民の前ではなにとぞ……。」 「あぁ……わかった。すまないな、気苦労をかける。」 マリアの指摘に王は反省をするも、もはや心ここにあらずと言った様子であった。
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