王様のお后探し

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拠点とする山村に辿り着いた、王とマリア。 村民たちは皆、こんな辺境の地に国王が来たことに驚き、また歓喜した。 「国王陛下、万歳!」 「こんな山奥の村では、どんなもてなしが出来るのかいささか不安ではございますが……。」 村長が若い娘を集め、村中の食料を集め、王を迎える。 「村長、今回は休暇出来たのだ。公務ではない。」 マリアが、出来るだけ村民たちに誤解を与えないように村長に説明しようとする。 王家の血を引く唯一の人間が、城を抜け出し息抜きに来た、そんなことが公に知れたら大変なことになりかねない、そう思ったからだ。 「いいんだマリア。」 必死に取り繕ろうとするマリアに、王は言った。 「少し城のことにうんざりしてな、ここには息抜きに来た。突然の来訪、すまなく思っている。だから私のことは国王としてではなく、独りの旅人として扱って欲しい。食べ物も、村の貯えを大切にしてくれ。皆と一緒に、その日の食糧は狩りで得たいと思っている。」 城にいたら誰もが反対しそうなこと。 それを王は自ら望んだのであった。
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