小さな画家

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「『!』のことを考えてみたんです。感嘆符とも呼ばれますが、実は『雨だれ』と読むこともあるんです。それで、『アマダレオ』というサインになっているんじゃないかと」  その説明に、少年は目を丸くして口を開けたまま固まっている。母親も「なるほど」と納得した表情だ。 「すごい……。運転手さん、探偵みたいですね」  その言葉に、私は少し照れくさくなったが、軽く微笑んで答えた。 「ありがとうございます。でも、まだまだですよ」 「ダメだよ、お母さん。そんなこと言うと、おじさんが本当に探偵事務所を開いちゃうよ!」  その言葉に車内が笑いに包まれる。病院に到着したことを告げると、母親は感謝の言葉を述べながら降りていった。 「またお会いできるといいですね。今度は別の謎で」  私はそう呟き、アクセルを軽く踏み込んだ。まだこの街には、無数の謎が転がっている。さて、次はどんな話が聞けるだろうか?
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