幸せの予感

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 目的地のマンションに着いたとき、彼は私に「少し待っていてくれ」と頼んで、自宅に向かった。私はその間、ぼんやりと車内で待つことにした。しばらくして戻ってきた彼の顔には、驚きと喜びが混じっていた。 「あなたの言った通りでした! 妻が妊娠していたんです。私の知らない間に、赤ちゃんの服をこっそり買って準備していたらしいんですよ」 「それはおめでとうございます! 素敵な知らせですね」 「いやぁ、あなたには本当に感謝しますよ。妻に直接聞いてよかったです。あなたのおかげでサプライズが台無しにならずに済みました」  私はその言葉に少し照れながらも、温かい気持ちになった。 「いえ、こちらこそ。お祝いの気持ちです。支払いは結構ですよ」  男性が支払いをしようとするのを制して、私は車を発進させた。夜の街を走りながら、心地よい満足感に包まれていた。
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