余命半年の君と過ごした時間

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放課後。 私は猛スピードで学校を出て、海沿いの道を走り続ける。 まさか、こんな日が来るなんて……。 走っているうちに、潮風が何度も吹いてきて、顔がベタベタする。 そのまま私は5分間走り続け、病院に駆け込んだ。 涼しい風が、全身を包み込む。 だが、そんなのお構いなしに、全身から汗が噴き出てきた。 受付にいる女性に、私は息を切らせながら言った。 「すみません……、新島美奈って、どこにいますか……」 「新島美奈さんですと……、513B室です。ここはA棟なので、あちらの右のエレベーターで三階まで上がり、左側にある連絡通路を通ります。B棟に移動したら、そこからまたエレベーターで五階まで上がり、右に直進すると、新島さんの病室がありますよ。」 「分かりました。ありがとうございます」 私は受付の人にお礼を言ってから、エレベーターに向かった。 ちょうどエレベーターが来ていたので、慌てて駆け込み、『3』のボタンを押す。 それにしても、この病院は色々と綺麗だな。 外観も綺麗な乳白色で、海側に窓があったので、病室からの景色が良さそうだ。 エレベーターの中には、木目が刻まれているリメイクシートらしきものが貼ってあり、おしゃれだ。 そんなことを考えているうちに三階に着き、エレベーターを降りた。 左に曲がって、連絡通路を通りB棟に着くと、またエレベーターで五階まで上がって降りて、静まり返っている通路を黙々と歩いた。 503B、508B、510B…… 美奈のいる病室に近づくにつれて、心拍数が上がっていく。 そして……、513B。 扉に『新島美奈』と書かれているのを確認し、三回ノックしてから、私はそっと扉を開けた。
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