今日も、また。

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──振り返ればそこには、描きかけの世界の切れ端が降り積もって山になっている。それに手を差し込んで色を灯そうにも、すべてを塵芥として捨て去ろうにも、俺は決心がつかない。そのときの熱は確かに胸のうちにあるのだ、無に帰すには惜しまれる。 前を向けばそこには、まだ誰も踏み入ったことのない新雪のような白が広がっている。だがそこには超えるべき山がいくつもある。山の大小はさまざまだ。だがひとつ言えるのは、山はみな一様にして白い。曇りも澱みもないひたすらの白が広がっている。 振り返っても山、先を見据えても山。 どちらを選んでも果てのない世界が広がっている。 描きかけの世界に色をつけるのか、捨て去るのか。 未踏の山に足を踏み入れるのか。 決めるのは他の誰でもない自分なのだ。 山を超えることを誰かに委ねるのは許されない。 ならばどちらを選んでも、悔いのない道にするべきだ。 たとえ途中で足が止まってもいい。 道に迷ってもいい。 なにより『自分で選んだ道である』ことに意味があるのだから。 だからこそ、俺は今日も筆を執る。 自分自身に屈することのないように。
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