死の宣告

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b7974f29-3173-4fe5-9074-a72705d34947 幼稚園の頃の記憶しかない父親。 男にもお金にも全てにだらしなかった母親に嫌気(いやけ)がさしたのだろう。小学校に上がる頃には家には父親以外の男しかいなかった。それもいつも違う男。 ーーー茉莉子ちゃん、こっちおいで。 他の部屋に連れて行かれてはイタズラされた。 ーーーい…嫌! お母さんのところに逃げてもお母さんは守ってはくれなかった。 ただビール缶片手に煙草を(ふか)すだけだった。      当たり前の家族の形なんてなかった。 だからいつも近くの公園の遊具の影で(おび)えてた。大人の男が嫌いになった。だからそんな男達を手玉に取り、(だま)してお金をむしり取る。 復讐すると誓った。 だからセックスに心を奪われるようなことはない。    ただ冷めた目で男の恍惚の姿を見ては     (むし)りとった紙切れを数えて行く。
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