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マティーニを呑み干すと「サービスです」と
深い青色のカクテルを私の前に置く。
それはそこはかとなく青く
私の魂を飲み込んで行きそうな透明、
そして白から濃い青まで
この世のものと思えない色彩が
私を異世界へと誘う。
「ブルームーンというカクテルです」
「初めてかも」
「でしょう。今、私が作ったものですから」
舌と唇が軽く触れると
甘くてフルーティーでちょっとだけ苦い
味覚がパインの香りに混じる。
「美味しい」
「それは良かったです」
「でも何故ブルームーン?」
「貴女がそう見えたので」
「私が?」
その言葉は嬉しくもあり
恥ずかしくもあり
悲しかった。
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