死の宣告

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68c556e1-34dd-4a07-9504-b9f79364c9f1 病院からの帰り道    偶然というには怖いくらいの偶然に       その場に立ち(すく)んだ。 「もしかしてお姉ちゃん?」 そんな声が背後から聞こえた。     それは確かに妹の樹里の声。    恐る恐る振り向くと     25年ぶりに見る妹は     私の想像の遥か向こうにいた。 「え?」 「茉莉子姉ちゃんよね?うち、樹里だよ」 二つ下の妹は今は33歳のはず。    でもどう見ても40過ぎのおばさん。 「マジで?」 「太ったでしょ。子供も3人もいたらこうなるよ。それにしてもお姉ちゃんは変わらないんだ。相変わらずイケイケなんだ」 何処(どこ)かの会社の制服姿で歩み寄る妹を舐め回すように見つめた。 あの日の光景が蘇る。
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