第一章『親の居ぬ間に』

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 女雛の選定は洸姫が辞退したことから同年代の女の子やその親たちが殺到して大変な事態に陥っていたけれど、どうにか鈴白神社の一人娘に落ち着いたのがつい先日。  神社の一人娘なら、正武家の嫁になることは無いだろうという牽制の結果である。  そんな慌ただしい中、女雛を引き受けてくれた彼女に追い打ちをかけるようにこんなことになってしまい私は申し訳ない限りだった。  本当なら私が口を出すのは憚られたけれど、男雛女雛というよりはどこぞの婚礼衣装のようになっていたことに苦言を呈して、通年通りよりもちょっとだけ豪華な衣装で年配の女性たちには納得してもらった。  そして三人同様に私もお屋敷に帰って来てからは大変だった。  明日の自分の誕生日の為に、なぜか自分でお誕生日会の準備をするというなんとも滑稽なせいで。  一番大変だったのは料理の下準備で、叔父さんの家から夏子さんと希来里ちゃんを召喚した。  までは良かったが、上守家では明日から始まるお祭りの三日三晩続く宴会へ持っていくつまみもある程度自分の家の分は持ち込むために、その分も正武家の台所で作る羽目になったので、召喚して正解だったのかは疑問である。
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