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「しっかり掴まってね。お買い物袋も落としちゃだめよ、一枚三円取られるんだからね」
「うん!ちゃんと握ってるよ!」
お出かけする時はお母さんの背中に乗るんだ。マッハ3でどこでもキーンとひとっ飛びさ!
でもその途中でいつも、お母さんはぼくに言うんだ。
「そうそうタカシ、あそこにある『あくやくのもり』には絶対近付いちゃダメよ?」
もう耳にタッコングが出来ちゃうよ。そんなに怖い所なのかなあ。
「ちゃんと学校でも教わってる?」
「うん、大丈夫だってば!」
「本当かなあ……ちょっと確認しようかしら」
「お母さんそういうのやめてよお……
あ、アッコちゃんだ」
「あっ、タカシく~ん」
スーパーに着くと、同じ様にお母さんと一緒にお買い物に来た友達に会った。
アッコちゃんは大きな翼があって、お鼻の上につのが一本。三角形のお顔にお気に入りのピンクのリボンがかわいいんだ。
「フルパワの奥様こんにちは!まあ、タカシくん大きくなったのねぇ」
「ママ、タカシくんはクラスで一番背がおっきいんだよ」
バサバサッと翼でぼくの頭を撫でてくれるアッコちゃんのお母さんは……
どこから見てもアッコちゃんにそっくりだ。
「あらあらアッコちゃんたら可愛くなっちゃって!リボン似合ってるう」
「えへへ、おばさんこんにちは」
「うん、ごあいさつ出来て偉い!
ねえ奥様、今日は新鮮な宇宙線を含んだ隕石が三割引ですのよ!」
「まあフルパワの奥様、庶民の正義の味方ね!もうこれ以上消費税が上がったら困りますわ」
「ふふ、旦那さんはまだ『プロ怪獣チップス』のカード集めてらっしゃるの?」
「そうなのよもう!そんな趣味やめなさいって言うのに!」
「ママ~、隕石サラダ食べたーい」
「よし、行こうか!」
手を振りながらそっくりな姿勢でバサバサッと飛んで行くアッコちゃん達。
「タカシ、どうしたの?」
……お母さんなんて嫌いだ。
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