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丁度同じ頃、ホテルの部屋では――…
「颯人さんからメッセージ?」
バスルームから出てきた凛桜は、ベッドの上でスマホを眺めていた一樹の側までやってきた。
「ああ。今日撮った写真を大量に送ってきた。それと神楽坂からも」
凛桜からは何かのボディクリームでもつけているのか、いつもと違う官能的な甘い香りがする。
そんな彼女の腰を抱いて引き寄せると、一樹は先ほどまで見ていた写真を凛桜に見せた。
そこには3人で初めて撮った『Top of the Rock』での写真もある。
「ふふっ。本当に大量に写真を撮ったんですね。その……神楽坂さんとは大丈夫だった?」
凛桜は一樹と斗真が隣同士で微笑んで写っている写真を見て、ふふふっと堪え切れないような笑いを漏らした。あまりにもありえない光景に信じられないのだろう。
もちろん一樹だって全く信じられない。去年の11月だったら考えもしなかった光景だ。
「そうだな……」
一樹はそう呟くと、颯人や斗真と一緒になって凛桜たちを探し回った1日を振り返る。
一樹は仕事でもスポーツでもいいチームプレーをするのが大好きだ。チームのメンバーが優秀であればあるほど燃えてしまう。何と言っても素晴らしいチームと一緒に何かを成し遂げるのはとても楽しい。
一樹の考えている事をどんどん先読みして行動している颯人と斗真を見ていると、このメンバーで一緒に仕事をしたらどんなに楽しいだろうと、ふと思った自分がいた。
斗真とはもちろんそんな事は一生ないだろう。でも、もし違った出会いをしていたら、颯人のセリフじゃないが、友達くらいにはなれたのかもしれない。
「まぁまぁうまくいったよ。神楽坂もかなり気を使ってたしな」
斗真のあの別人のような穏やかな表情や、サークルラインで一樹に謝罪してきたのを思い出す。
彼があそこまで変われたのは、きっと今の彼には愛する人が側にいて、そして同じように深い愛情を受けて、とても幸せだからなのだろうと一樹は思う。
以前、人は人を変えることができない、と香澄に言った事があるが、それでも深い愛情は人を変える力があるのだと思わずにはいられない。
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