二度目の人生

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あれから2年が経った。 夫から大事な話があると言われて覚悟していた。 「君もわかっていただろうけど、俺には他に愛する人がいるんだ」 この時が来たかと思った。 前回の記憶通り、私は第2子の美玖を身ごもり出産した。 そして雄一さんは美玖を妊娠してからも、河合愛梨との関係を続けていた。 「ええ……もう4年目でしょうか?」 夫は思いがけない返答だったのか、すぐに言葉が出ないようだった。 浮気の証拠はファイリングしてある。 私はそれを取りに行った。もう4冊にもなっていた。 「離婚して欲しい。い慰謝料は払う。親権は俺が取る」 「離婚はしませんので、親権は渡しません。精神的な苦痛をつぐなうためのお金として河合愛梨さんに慰謝料を請求します」 私はそう言って浮気の証拠を夫に突き付けた。 夫は苦い顔でそれを見た。 「そういうことか……」 「私は雄一さんの妻としてちゃんと務めを果たしてきました。育児も一人でこなしました。貴方に文句を言った事もありません。家事も完璧にしていました。私に落ち度はありません」 「……」 「雄一さんは、不貞を行ったので有責配偶者です。夫からの離婚請求は認められません」 「君は弁護士を付けているのか?」 「いいえ。けれど、探偵に頼んで証拠を集めてもらいました。第三者からですので証拠能力があります」 夫は深いため息をついた。 「そこまで調べていたんだな」 「まずは浮気相手と別れて下さい、そして浮気を繰り返さないように誓約書を……」 「気がついていないかもしれないが、君は散財しすぎている。生活費の補填などでは済まされない額を浪費している。だから家族カードは止めさせてもらう」 「……え?」 「弁護士や探偵に支払う金はもうないぞ。君は妻失格だ」 何を言っているの? 「この先、稼ぎのない美鈴が子供を育てられるはずがない」 「だから、それは……」 「親権を放棄して離婚に同意すれば慰謝料を支払う。今まで自分がいくら使ったか分かっているのか?」 「それは調査費用だから、浮気をした人が支払うべきお金です」 「毎年、生活費以外に数百万。俺の稼ぎから出しているよな?」 「それは……」 夫として生活費を渡すのは当たり前だし、子どもを育てるために必要なお金だって夫が出すのは当然だ。 探偵の費用は、浮気の調査のためだったから夫が支払うものだ。 「裁判をしてもいいけど、美鈴は弁護士を雇える金がないだろう?それにカードを止めたら、これから子どもにどうやって食事を与える?今までの君の散財は離婚理由として認められる。生活能力のない妻に、子供の親権は渡せない」 どういうことなの?
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