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《美鈴side》
前回の人生で、動物園の件で落ち込んでいた私に、二人目をつくろうと言った雄一さんの冷酷な顔を思い出す。
この人にまた抱かれなくてはいけないんだと考えただけで悪寒が走る。
我慢だ。美玖を授かるにはこの人と交わらなければならない。
ただの儀式だと思って我慢すればいい。
頭の中で女性専用風俗君のことを考える。
彼は仕事と割り切って、どんな女性でも抱くと言っていた。
職業だと割り切れば奉仕もできるという。
最後の私のミッションだ。
意地でもやり遂げてみせる。
そして私は計画通り美玖を身ごもった。
産婦人科で妊娠6週目だと言われた時には泣いて喜んだ。
先生が「おめでとうございます」と笑顔で言ってくれた。
本当にここまで長かった。
よくぞやり切ったと自分を褒め称えたい気持ちでいっぱいだった。
お腹の中にいる子供の親権は母親になる。
だから、雄一さんに美玖の存在を知らせる必要はない。
最後に雄太と二人で仕事に行く雄一さんを玄関で見送った。
最後よあなた。
「いってらっしゃい」
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