一度目の人生

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そんな時、夫が突然、二人目の子どもを作ろうと言い出した。 彼女と別れて、私とやり直そうとしてくれたんだと思った。 私はそれが嬉しくて、体調を整え妊娠しやすい時期を産婦人科で調べてもらった。 そして雄太が2歳の頃、待望の第2子を授かった。 幸せだった。 一人目同様、やはり悪阻は酷く、入院する事になった。 雄太は夫の実家に預かってもらうことになった。 心配で仕方がなかったが、新しい命を守らなければならないと思い、早く元の生活に戻ることだけを考えた。 私が退院してからも、相変わらず雄一さんは仕事が忙しいようだった。女性用のアクセサリーの領収書。口紅がついたシャツ、買った覚えのない下着。 土日の外出。自宅にはあまり帰ってこなくなった。 けれど、私にはお腹の子がいる。 浮気はやめたはず、雄一さんが2人目を望んだ。彼を信じようと思った。 彼は私を愛している。 私は彼の不自然な行動も、自分の都合のいいように記憶を改ざんした。
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