二度目の人生

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今日は日曜日だ。 雄一さんは昨日から出張で京都へ行っている。 けれど私は知っている。これは仕事の出張ではなく、不倫相手との旅行だ。 一度目の時は、後になって不倫旅行だと発覚したけど、今回は事前に分かっている。 私は探偵に頼んで京都まで夫を尾行してもらうことにした。 わざわざ新しい下着を買って、出張の着替えの中に入れてあげる。 不倫相手のために夫のシャツにアイロンをかける。 これほどの屈辱を味わいながらも、夫に尽くしている妻は他にいないだろう。 雄一さんが京都へ行っている間に、夫のパソコンと同期しているカレンダーで予定を確認した。 クレジットの明細を調べたり、普段使っている鞄の中を漁った。 レシートや領収書の類、不倫の証拠になり得るものを全てコピーしてファイリングする。 「ママ、おうま」 チリひとつない綺麗なフローリングの床。ちょこんと座った雄太が私を呼んだ。 テレビで競馬中継をやっているようだ。競走馬が映っている。 「ふふ、お馬さんだね。雄太、これは競馬のお馬さんね」 愛らしい我が子と一緒にテレビを観る。サラブレッドを見て絵本の馬と同じだと認識できる雄太は天才かもしれない。 我ながら親ばかだなと思いながら雄太を抱きしめた。 今日はG1レースが行われる日のようだ。 『高額配当がでました!着順は1着1番、2着2番、3着9番。三連単1、2、9の万馬券です!』 万馬券が出たんだ。私は画面に注目した。 『7番人気であるサブリナドリアーナが天皇賞を制し、騎乗した騎手が初のG1勝利を収めました。17番人気の馬が馬券に絡んだことが高配当の要因でしょう。三連単1、2、9の万馬券です』 アナウンサーが興奮して高配当になった要因を説明していた。 「凄いね雄太万馬券だって。1、2、9だって、1月29日。ママの誕生日と同じだね」 そういえば巻き戻る前も競馬で万馬券が出たというニュースを目にしたような気がする。 ちゃんと記憶してれば億万長者になれたかもしれないと思った。 「ま、今更だね」
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