22人が本棚に入れています
本棚に追加
これがパワハラというヤツか
柴田町にリコーという会社がある。
美桜はそこに派遣として雇われていた。
大きな敷地の工場なだけあって、自分の職場がどこにあるか分からず迷子になるなんて頻繁にあった。
仕事は加工ラインへの部品供給。
台車に部品が山積みされた物を、直接作業者に渡したり、棚に部品を入れていったり、ついでに空になった空き箱を回収したりと、朝から晩まで忙しく走り回る仕事だった。
この時の1日の平均歩数は3万歩を遥かに超えていた。
両股関節が悲鳴を上げてとうとう美桜は歩けなくなり、仕事を早退して病院へ行った。
「ー大分炎症してるね。ホラ、ココとココもだ」
整形外科の先生は、レントゲン写真を見ながら美桜にそう言った。
「痛み止めの注射しようね。歩いている内はこの痛みは付き物だから···そうだなぁ、歩かないようにする、なんて無理···だよね?」
美桜は頷いた。
台車に部品乗せて、移動からの供給だから「無理ですねぇ」としか言えない。
「そうだよね」と先生は苦笑した。
「だとするとそうだなぁ···、ロキソニンと、あと塗り薬も一応出しとくね。薬が効かなかったら直ぐ来て下さい」
それじゃぁ、お大事に。と無事に診察は終わった。
最初のコメントを投稿しよう!