羽響櫂Side

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羽響櫂Side

先の会話から4時間が経過し、現在時刻は10時32分。 羽響は仮眠室のソファで桜川リリネと会話をしていた。 「で、勝手に指導役買わされちゃったわけね…可哀想にお姉さんが慰めてあげようか?」 「遠慮します…」 「ふふっ…でもそれって上官様が櫂ちゃんの事買ってるって事よ~いいことじゃない」 「…というかいつまでそんな事してるんです、視界に入って嫌なんですけど」 「ふふっ♡…いいでしょ、この子。最近調教終えたばかりなんだけど従順でお気に入りなの」 羽響はCE内の仮眠室のソファで、桜川が男を四つん這いにさせて椅子にしている様子を死んだ目で見ていた。 桜川の下で男は途切れた息を漏らしており、苦しそうにしていた。桜川リリネという人間は、世にいうS気質の人間なんだと 思う。私はそういった類に詳しくないのでよくはわからないが、一般的にSというのはサディズム・サディストの略だ。 そしてサディズムとは加虐的欲求を持っている人間の事を指し、簡単に言えば相手を痛めつけることで性的興奮を 覚える人間の事だ。 「リリネさん…あの…そろ…そ…ろ…もうげん…か…い」 「あらーまだ1時間しか経ってないわよ…それともこの前みたいにお仕置きされないとやる気でない?」 「で…も…みられて…」 「見られて興奮してるの?悪い子だー♡」 やめてくれと遠回しにに言ってみたが、目の前で繰り広げられている光景は一向に止む気配がない。 頼むからそういう事は自室でやって欲しいものだ。私は仮眠を取りに此処に来たというのに、これでは寝る事ができない。 かと言って先客の人間を追い出す言葉を口にするという気力は私に残っていない。 諦めて、私は桜川達に背を向けてソファに倒れこんだ。つい最近、買い替えたばかりのソファは思ったよりも柔らかく私の重みを 吸収した。 前のソファは桜川が女性と行為をした時に盛り上がってダメにしたらしいが、その時のソファは使い古されたせいで 綿が飛び出ていたので正直買い替える理由ができてラッキーぐらいに思っていた。 まさか、その日を境に仮眠室を個人的理由で使用されるなんて上官も思っていなかっただろうなと考えながら目を閉じた。 「あ…!~っ…」 「なーに…もう終わり?せっかく鍛えてあげたのに~」 「リリネさんが…体力オバケなんですよ…昨日だってぶっ続けで4時間もされて…俺死ぬかと思ってたんですから」 男の啜り泣きが混じった声が耳に入ってきたが無視を決め込んだ。 「あの後何回起こしてもすぐ気絶しちゃってたわよね~私、そのせいで満足してないの…だから…ね?」 「でも…」 「私の言うこと聞けないの…?」 男の唸るような声に我慢できなくなり、無言のまま起き上がった。 男がこっちを凝視していたが、見つめ返さずに仮眠室の扉まで歩いた。後ろで桜川がごめんねと表向きの謝罪をする声が聞こえたが、その2秒後には水音がしたので無視して部屋を出た。
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