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寸時ひくつきが続いたご主人さまのお尻が、目の前から離れ、明るい視界が戻りました。
その中へ、わたしを見つめるご主人さまの、向きを変えた躰が入り込みました。
ご主人さまのこの躰をはじめて見たときの衝撃は、忘れられません。
黒ずんだ全体のいたる所に筋状が走る、こんな凄い身の持ち主が世の中にいたなんて……。
荒い息遣いを収めたご主人さまは、小柄ですが結構な体重のあるわたしを、簡易ベッドから抱きあげました。いつもお姫様だっこをしてくれます。
そして部屋を出ました。
こんなことが堂々とできるのは、わたしたち以外の人間が、このお宅にはいないからでしょう。
二階へあがると、ご主人さまは浴室へ入りました。
わたしにあてがわれている部屋以外、キッチン、リビング、客間、階段の踊り場、玄関、トイレ、そしてここでも、ご主人さまはわたしを抱きました。
わたしにあてがわれた部屋だけでは飽きてしまうのでしょう。
どことなく部屋以外のほうが、ご主人さまの昂りは大きいようです。
浴室は広々としていました。なのに、なぜか浴槽がありませんでした。だから、ぽつんとあるシャワーが、妙に浮き立っているように感じました。
これだけの広さなのに……と、当初は不思議でしたが、今ではおそらくの見当がついています。
ご主人さまの、あの凄い躰が要因なのではないでしょうか……。
てっきり今日はおしまいと思っていましたが、場所の変化が残っていた欲情をあおったのでしょうか、シャワーのコックを開く前に、ご主人さまは再び荒々しく、わたしを開きました。
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