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【良木・4】
【良木・4】
不規則によじられる肢体の中心に穿たれた壺は、二指の攻めによって、とめどなく蜜を溢れさせ―――。
荒い息とともに押しだされる、あえぎ、悶えは、“事”のはじめから喉を裂かんばかりの音量で、密室の空気を震わせていた。
ファンつきシーリングライトの豊かな明りの中に見る快楽に歪んだ表情は、平素のものより格段に美しい。だがその美よりも、本来の彼女の姿をすっかり消し去っている胴体部分のほうが、私を昂らせる。
「センセイ……センセイ……センセイ……」
涙声が、あえぎの間に挟み込まれてきた。
求めに応じ、隧道の掘削作業を激しくさせた。
悦楽のボリュームはするとさらに増大し、骨盤の上下運動も荒くなった。
彼女の“陰”は、粘液をかき混ぜる淫靡な音を盛大にあげ、蜜まみれになっていた私の右手を一層溺れさせた。
「センセ、センセ、センセ―――」
急く声に合わせ、こっちも自らの下腹部に添えていた手の蠢きを速めた。
「センセ、センセ、センセ、センセ―――」
壊すほどの躍動を手首に命じた。
間もなく―――、
「センセーッ……!」
絶叫とともに、へそを高々と天井へ向け突きあげた彼女は、刻をとめた。
空間には、粘液を撹拌する音だけが響き続け―――。
ベッドへと背中が戻った刹那、虐げられていたトンネルの上部から悦水がほとばしった。
それを腕に感じてすぐ、私も全身を震わせた。
七月半ばの週末―――。
エアコンの効いた工房内は、初夏の熱気を完全にさえぎってはいる。それでもふたりの汗の噴出がとまらないのは、いうまでもない。
呼吸の乱れが収まると、ひくついている一糸まとわぬ躰の腰部に私はまたがった。
彼女の濡れた目は、私のそれを捉えて離さなかった。
未だ胸を上下させている彼女の顔に、唇をゆっくりと寄せていった。
垂れたよだれを舐めあげ、半開きとなっていた紅色の中に、舌を侵入させた。
彼女の両腕は、すでに私の首にまわっていた。
汗の臭い、淫臭、石油系溶剤の臭い―――混ざる悪臭が、興奮を助長させた。だから、密閉された工房内での営みが一番好きだった。
長時間嗅いでいると、人によっては頭痛や吐き気をもよおしてしまうこの溶剤だが、彼女が不快を訴えることはなく、逆に若い躰は、家内のほかの場所で重なるときよりも激しく反応した。
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