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私同様の性質を持っていたからだろうか……。それとも、音の洩れる心配がより少ない空間が、安心をもたらすからか……。
お互いの舌で、お互いの口中をさんざん慈しみ合い、糸を引かせて唇を別離させると、私の目は彼女の顔から離れ、異形へと変貌を遂げているその下部へと流れた。
人間の形は保っているものの、今、全身のほとんどから人肌を消している彼女を眺め、つくづく思う。
―――これこそ本当の美。
愛友で研鑽を積んだとはいえ、違う躰。初回は思いのほか手間取ることもあり、時間もかかってしまった。それでも仕上がった彼女からは、大きな満足を得た。
また、過去の手さばきが戻り、作業時間も短縮された二回目から今まで、幾度かつくり変えた彼女の躰にも、初回に劣らない美しさ、妖しさがあった。
この満悦は、これからも褪せることなく続くはず……。当初思い、ひとりほくそ笑んだ。
はじめて異形となった自分を鏡に映した彼女は、さすがに目を瞠った。
私の力量、才能に対する賛辞の言葉が出る前に、彼女の口を私のそれで塞いだ。それは、愛欲からの接吻でもあり、生まれ変わった彼女への、祝福の口づけでもあった。
彼女は驚きからか、しばし固まった。それでも予想通り、すぐに私に身を任せた。
製作中から、彼女の両腿の内がてらてらと光っているのには気づいていた。
つくり変えなかった秘部に触れたい衝動を抑えながら作業を続けた私のそこも、同様に湿潤していた。
未経験だった彼女の硬かった躰がすっかりほぐれるまで、時間はかからなかった。
ズボンをはいたままの私の股下に潜り込ませてきた彼女の掌は、失禁レベルの湿り気を感じとっているはず。
その、慈しみ合いにはいたって不向きな私の姿に当初、「どうして?」彼女が質してきたのは当然だった。
単にこのほうが燃えるから―――。
そういう性質の人間も、世の中結構いるようだ―――。
それしか思いつかなかった答えで応じると、彼女はとくに訝しむようすもなく、また、不平を洩らすでもなく、受け入れた。
もしくは、
支配者という思いを強く持ちたいがため―――。
と推測したかもしれない。実際、営みはいつも私が主導権を握っていたから。
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