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直後、月奈の笑顔が消えた。
ガシャンという鋭い音と、ゴッという衝突音。
そしてぐしゃりと何かが潰れるような音が不協和音を奏で、同時に日奈の視線の先で月奈が倒れ込んだ。
「……る……な……?」
残された日奈はぺたりとその場に崩れ落ちた。
倒れた月奈の頭からはじわじわと血液が滲み出て、アスファルトを赤黒く染めてゆく。
そのすぐ横に壊れた植木鉢が落ちているのを見て、日奈はゆっくりと通りの横にあるマンションを見上げた。
5階あたりだろうか、ベランダから一人の女性がこちらを覗いて青い顔をしている。
その手には地面で割れているのと同じ、赤茶色い素焼きの植木鉢があった。
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