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それは家の中だけではなく、学校でも同じだった。
誰かの物が無くなると、何故か日奈のロッカーや机から出てきて泥棒扱いを受ける。
歩いていると近くを通った人が転び、彼女が足を引っ掛けたと言われる。
そんな事が続き、それまで常に人に囲まれていた日奈の周りには誰も居なくなった。
唯一残っていたのは月奈だけだ。
両親ですら日奈を信じてくれなくなり疎むようになっても、月奈は如何なる時でも姉を庇い、擁護し続けた。
日奈はそんな妹を唯一の味方だと信じるようになった。
しかし徐々に疑惑は積もる。
事件が起こる時、それが家でも外であっても必ず月奈は日奈の傍に居るのだ。
それに、家の中で起きることに他人が関わっているとは思い辛い。
何より、糾弾される日奈を庇うことで月奈の評価は向上していた。
静かで陰気でひとりぼっちだったはずの月奈は、いつの間にかどうしようもない姉に悩まされながら、それでも姉を思いやる優しい子だと家族からも教師からも学友達からも評価されるようになった。
つまり日奈が責められるほど、月奈は得をする事になる。
日奈は次第に唯一の味方だと思っていた月奈を疑うようになった。
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