帰りたい家

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帰りたい家

八重崎(やえざき)さん、すみません。これの確認お願いできますか?」 「はーい」 「八重崎先輩、ここってどう書いたら伝わりやすくなりますかね?」 「そこはねぇ……」 「八重崎さん、会議室ってとれてる?」 「できてるよ~」 頼りにされるのは嬉しい。 そのために私は頑張ってきた。 だけど疲れないかと言えば、人間だから当然疲れる。 私は万能なロボットではないのでね。 誰もいない休憩室で、少し遅れての昼休憩。 私は旦那と子どもが作ってくれた弁当箱を開ける。 今日のお昼はのりと卵のふりかけがかかったおにぎりがふたつと、顔までついたたこさんウィンナー、ふんわりした卵焼き。ピリ辛なきんぴらごぼうと、カラフルなピックに刺さったうずら卵は私の大好物だ。ブロッコリーとミニトマトで彩りも忘れていない。 小学3年生の娘はあまり学校に行かないけれど、その分パートの旦那と一緒に家事に勤しんでいる。 科学に興味のある娘は、料理は科学ということに気づいてから、もっぱら料理に夢中なのだ。 掃除にも科学が使われているのだと嬉々として教えてくれるくらいには、料理以外の家事も好きみたいだけど。
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