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未来と翔太の付き合いは、未来が理想とする形で進んでいった。それは、未来の仕事が第一優先で、無理と無駄を徹底的に排除するような感じだった。
デートは土日のみ。それも仕事で疲れていたら無し。
付き合って3年目に入る頃には月2回の土日デートが定番になった。
夜はラブホに泊まった。
未来は神経質なところがあって「自分の舞台裏」を見せるのが嫌だった。二人ともアパートで独り暮らしをしているのに、お互いに自分の部屋には呼ばなかった。翔太も同じく「舞台裏」を見せたくないんだろうと未来は思っていた。
翔太は、女性に対して家庭的なモノを求めてはいない男だと未来は思っていた。だから、アパートで二人で過ごすよりラブホの方が気が楽なんだろうと思い込んでいた。
未来は翔太が自分に向ける愛情の方が、自分が翔太に対して持っている愛情よりも大きいことを何となく分かっていた。
最初の頃は、どうして私なの?と思っていた筈が、時を重ねるごとに「当たり前」に代わっていった。
二人の付き合いは、二人が社会人として一人前になればなるほど、ドライになって行った。
最初の頃に感じたときめきも熱も冷め始めていたが、代わりにお互いが居て当然といった安心感を生み出していた。
その頃になって、翔太は「結婚しようか」と度々口にするようになった。
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