3、青山 未来

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 未来は、それを聞くと「約束が違う」と思う。思うだけではなくて口にも出した。 「主任になるまで待ってくれるって言ったじゃない」 すると、翔太は納得がいかないという表情をする。そして言う。 「結婚と仕事は同時並行でいいじゃない?子供さえいなければ、今と変わらない。僕は好きな人と一緒に暮らしたい」 「あなたは私の仕事が分かっていない。そうよね。総務じゃわからないよ。私はね、現場で製品を作らなければならないの!私たち現場が頑張っているから会社は成り立っているのよ!感謝してほしいわ。結婚したって、翔太の面倒を見る時間なんてない。平日の退社時間は8時、9時よ。夜通し実験をする時もある。わかっているの?」 「家事は僕が全部するから大丈夫」 「今はそう言っていても、実際に毎日帰りが遅い妻に不満を抱かずにいれるの?本当に大丈夫なの?」 「大丈夫としか言えないよ。でも、そのつもりだ。僕は未来の支えになりたいと思っている」 「支えって……なんなのよ!社内結婚なら式だって挙げないわけにはいかないのよ。その準備の時間だって私には無いのよ」  付き合って4年を過ぎてから、二人の間で同じようなやり取りが増えた。 翔太は自分が悪いと分かっていた。未来は最初から「主任になるまで結婚は待って」と言っていたのだから。  翔太は心身ともに自立した女性が好きだった。 でも、そういう女性は意思が強く頑固だ。
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