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4、鯛焼き女
バカでも、それなりに自覚を持てば、成長するんだと僕は初めて知った。
斎藤が、まともになって来た。まぁ、僕も助けてはやった。半分は僕のお陰だ。
斎藤は常識を知らない。夜の10時過ぎにラインをしてくる。
『すみません。私のノーパソが何かに汚染されているようです。きゃ~どうしましょうか?』
『どんな画面が立ち上がっているの?』と詳しくラインで聞いてみると、どうやらセキュリティーのアップデートだったなんて事もあった。
「は?マジか?」と思うような質問もあった。
『どうしても日本語が打てません!』
それは単なる入力切替だった。
それでも、3カ月過ぎる頃には、斎藤も人並みにブラインドタッチをしていた。紙詰まりで大騒ぎすることも無くなった。逆に、僕の指導の賜物だと僕の方が課長や部長から褒められる。ついでに、斎藤からもお礼を言われる。
お礼をする時の斎藤は、深々と頭を下げる。なんだか、デパートの開店の時のような気さえしてしまう。少し上品な感じ?そんな雰囲気がする。
僕は少し斎藤の事を誤解していたみたいだ。よくある「~ですぅ」みたいな語尾を伸ばした話し方はしない。ぼ~っとしてるけど、マジでボケている感じだ。天然の天然ものかも知れない。言ったことは忠実に実行する……が、飛んでも無い失敗をやらかす。この前もパソコンがおかしいと言って電源を引っこ抜いた。
そういう時には、デパートの開店お辞儀をする。
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