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未来を初めて抱いた時、彼女が初めてなのに驚いた。今時、珍しい。何時も、ポーカーフェイスの未来が、恥ずかしがっていたのが、とても可愛かった。
可愛いと言うと彼女は怒るので、僕は行為で愛情を示した。優しく優しく壊れ物を扱うように接した。
僕の想いは伝わったようで、この日を境に僕たちは、やっと恋人同士だという熱が二人の間に漂うようになった。
社内恋愛は難しい。
今は相思相愛でも、付き合っているうちに、そうではなくなるかも知れない。別れが来たら、お互いに会社に居づらくなる。
だから、未来が言い出した「絶対に、社内では付き合っていることを公言しない」という事に僕も同意した。
会社の中では、お互いにただの同期という態度でいようと決めた。
物理的にも総務の僕は本社。彼女は工場と同じ敷地内でも建物が別だった。僕たちの勤める機械メーカーの敷地はとにかく広い。工場があり、本社があり、その間に体育館と食堂があった。
配属されてから、社内では未来と顔を合わせることもなかった。勿論、付き合っていることは秘密だったので昼食も一緒には摂らない。
デートは土曜か日曜。もしくは、土日。ラインもしていたが、未来は家でも勉強をする。なので、ラインや電話で長時間彼女を拘束したりはできない。この距離感が僕にとっても心地よかった。
べたべたしてくる女は苦手だ。
プレゼントとか記念日とかに拘る女とは付き合いたいとも思わない。少し、ラインが滞っただけで「浮気?」とか騒ぐ女は大嫌いだ。
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