2、付き合って5年

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 僕と未来(みく)は、土日の社外での逢瀬と毎日5分の電話で繋がっていた。付き合って2年目の終わりに、僕は未来(みく)に結婚の意思を告げた。未来は嬉しそうな顔をしながらも「今は無理」と言った。  「私は、今の仕事をずっと続けたいの。出世欲だってある。少なくとも主任になるまでは結婚は考えられない」  「設計主任か…男でも30過ぎだ。今、僕たちは25歳。5年以上先ってことか……」 「待てない?待てないなら別れようか」 「いや、待つよ。待てる。未来(みく)だって、僕の性格は良くわかっているでしょ。僕たちなら大丈夫だよ」 「そうだね」  僕たちは、こんな会話をしていた。でも、正直言って僕の本心は、違うところにあった。この感情に振り回されない僕の理想の女性は、他には居ないと思っていた。  殆どの女性というものは感情的で訳が分からない生き物だ。 それを可愛いと言い、そういう女性を求めている男は沢山いる。それが僕には自分の優越感を満たしたいから、そういう女を求めているとしか思えない。 僕が女性に求めているのはソコではない。  僕は、本当のパートナーと呼べる相手を探していたんだ。それが未来(みく)だった。彼女となら、対等な関係を築ける。  僕と未来(みく)の間には、ソレがある。今でも対等。こんな関係を築けるのは、未来(みく)しか居ないというのは分かっていた。  だから僕は待った。 土日のデート、5分のラインのまま。 夏休みや年末には2泊3日程度の旅行にも行った。 結婚は30過ぎというのが僕たちの暗黙の了解になって行った。 気が付いてみたら、お互いに「結婚」というワードは口に出さなくなっていた。 未来(みく)は、ずっとピルを飲んでいた。僕が避妊をしても「絶対に間違えたくない」と言い張った。 それほど、彼女にとってキャリアは大事だった。でも、僕は未来(みく)の身体の方が心配だった。  
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