第2話

4/7
前へ
/19ページ
次へ
 3人で学校の食堂で朝食を食べ、それぞれ別々にロールの研修に向かった。カイトはゲートの中にある発電タービンへ。ランは食物プラントへ。プラントはゲートの外にあり、距離もあるためゲートの中にある駅からリニアに乗って向かう。オレは街の中央にある城へ。城の敷地の中にゲート騎士団の拠点があるのだ。城までも距離があるため地下のリニアで向かう。リニアに乗る機会はめったにないから楽しみで仕方がない。めっちゃワクワクで興奮してたんだけど、乗った瞬間に寝てしまった。起きたら城に着いてたぜ。なんだか損した気分……。駅に着くとゲート騎士団の制服を着た同士たちが胸を張り颯爽と歩いていた。各地から来た同じ研修生だな。今日は片っ端から倒してやる。胸を張り力強く一歩踏み出した。ズキッ。くっ、アバラが痛む。もし負けた時、これを言い訳にはしたくない。多少無理してでもやってやるぞ。  天を突くほどの高さの城の前。青空の下に新人約200人が並ぶ。城から吹く風で制服がなびいている。 「整列!敬礼!」 ザッ!一斉に敬礼する音が響き渡る。 「今日は剣の授与式を行う。その前に剣術の試合を行い、優勝者のみ特別な聖剣を授ける。全力を尽くしてくれ」 ザックバード騎士団長の長身で鋼のような肉体から発する声が響き渡る。白髪が混じった髪が、銀に輝いて見える。笑顔を見せているが目の奥は笑っていない。剣術は常にトップという。いつか手合わせをしてほしいものだ。自分がどこまで通用するのか試してみたい。そう考えると力がみなぎった。まずは優勝を目指す。トーナメントだから7勝すればいいはずだ。広い敷地内で25組が一斉に試合を行う。オレの出番は早速やってきた。対戦相手は身長も体つきもオレとそんなに変わらない。引き締まってると言えば締まっている。騎士団に選ばれたのだからそれなりに剣術ができて、運動神経もいいのだろう。 「構え!」 号令と共に皆一斉に剣を構えた。剣は訓練用の木剣だ。体のどこかに有効打をあてると勝利となる。オレはあえて剣は抜かず鞘を持ち低姿勢に構えた。 「はじめ!」 はじまるやいなや姿勢を低くしたまま地面を蹴り相手へ飛び掛かった。剣を抜刀し足に切りかかった。アバラが痛んだが、こんなことで怯んでたまるか。相手はかろうじて後ろに下がり避けた。が、体制が崩れている。そのまま下から上へ切りつけた。 「そこまで!」 審判が止める。少し間を置いて、相手が尻餅をついた。 「おおー」 見ていたギャラリーが声を上げ、やがて拍手が広がった。痛みもあるし、なるべく時間をかけずに行く作戦が成功した。この勢いのまま優勝を目指すぞ。高き城の頂上を見つめた。あそこからはどんな景色が見えるのだろうか。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加