第2話

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 空がオレンジに染まった。風が心地よい。オレは決勝までコマを進めた。あと1勝で優勝だ。やってやるぞ。敗れた新人約200人が囲む練習場にオレともう1人の決勝進出者の2人だけが立った。 「久しぶりだな」 ん?会ったことあるのか?正直覚えていない……とりあえず話を合わせておくか。 「あ、ああ。だな。」 「以前の学校対抗戦では負けたが、今日は負けないからな」 やばい……戦ってるみたい。覚えてない……。ん?あの紋章のバッジ。 「あっ!氷のロッテンハイム家!」 思い出した。氷のギフトを持った名家だ。確か隣の地区の学校の剣術大会優勝者だったな。それで学校対抗戦で戦ったんだ。 「なんだ?いきなり大声出して。もしかして……忘れていたとは言わせないぞ」 「わ、わすれていた……」 「くー。なんという屈辱。俺はあの負けた日からお前のことを忘れたことはないというのに。全力で倒しにいくからな」 氷のギフトは、温度調整や様々場所で重宝され手厚く保護されている。ゲート騎士団はギフトなしでも務まるため、ギフトなしの者が多い。まさかロッテンハイム家からゲート騎士団が出るとは。 「さて、そろそろはじめよう」 ザックバード騎士団長が真ん中に立った。直々に審判をしてくれるようだ。それにしてもあの威圧感。歩くだけで大地が揺れているようだ。 「では、構え」 おっ。ロッテンハイムの気配が変わった。力が抜けていい構えだ。これは油断してられないな。オレも剣を抜き両手で構えた。柄をねじるように力を込める。アバラの痛みは感じない。アドレナリンが出ているからだろうか。 「はじめ!」 お互いジリジリとにじり寄る。隙がないな。どう崩していくべきか。次の瞬間、ロッテンハイムは半身になり突きを連打をしてきた。速い。かろうじてすべて剣で受け流した。ロッテンハイムは半身のまま横っ飛びの形で近づき、大きく弧を描くように横切りを放つ。剣で受けたがその勢いに負け、剣を持って行かれそうになり体制を崩した。やばい! いや、チャンスだ。向こうも大きく振ったため体が流れている。崩れた体制のまま、剣を下から切り上げた。ロッテンハイムは後ろにのけぞるようにかろうじて避けたが尻餅をついた。よし!ここだ!地面を強く蹴り上から切りつける。 ガチンッ。足が地面にくっついたように離れず、前のめりに体制を崩した。足元を見ると、地面が凍り本当に足がくっついていた。ロッテンハイムが尻餅をついた時に地面を凍らせたのか。ロッテンハイムが苦笑し、ギフトを使ったことで反則負けだと思ったのか、うなだれ負けを認めたようだった。 「立て!ギフトを使ってはダメというルールはないはずだ。むしろ使え。それがお前の個性だろ。さぁ続きやろうぜ」 ザックバード騎士団長をにらむように見る。騎士団長だろうが試合は止めさせない。 「騎士団長。いいですよね」 有無を言わせない勢いでいい放つ。ザックバード騎士団長は、深く頷いた。 「ギフトは反則ではない。任務のため、人を救うために使うこともあるだろう。ギフトも能力のひとつだ。存分に使え」 ロッテンハイムが立ち上がり、決心した表情を見せる。 「ありがとな。でも後悔するぜ」 さすが名家の出身だ。やる気を出したロッテンハイムの佇まいは自信にあふれたオーラを感じさせる。油断は禁物だな。オレも本気でいくぞ。
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