第3話

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 猛獣が力を溜めるように大きく羽を広げた。羽が月の光でキラキラと輝いた。ウォーロックの額についていた宝石が羽の節に複数ついていた。あの宝石は弱点なんじゃないだろうか。あれを狙えばチャンスがあるかもしれない。だがどうやって……。猛獣は力を溜めた羽をはばたかせた。猛烈な風が巻き起こり、枝や葉っぱを切り裂いていく。木の後ろにいるから助かっているが、まともに受けたら体が切り刻まれてしまうだろう。周囲の木の枝がなくなり、隠れる場所が減っていく。真正面から立ち向かっても近寄ることすらできそうにない。逃げるしかないか。とにかく気をそらせるんだ。持っているライトを横へ投げた。猛獣が光の方を向く。そこに向かって羽を広げた。いまだ!聖剣クレストソードを思いっきり羽にめがけて投げた。 ザクゥ!グオー!猛獣の叫び声が響く。羽の宝石に命中し、剣とともに宝石が地面へと落ちる。 「バカなぁぁ。剣を投げるだとぉ!剣が大切ではないのか!?」 剣は大切だ。それよりも生きなければならない。死んだら終わりだ。 「くそっ。風のクリスタルが1つなくなるとは……我の体に傷をつけた人間ははじめてだ。一体何者だ!?生かしてはおけん!」 猛獣の声で空気が割れる。次はどうする?剣もなく、もはや何も持っていない。もしギフトがあれば……ギフトがないことを一瞬恨んだ。その時、鞘が温かく緑に発光しはじめた。それに呼応し、聖剣クレストソードも発光している。さらに猛獣から落ちた宝石も発光しはじめた。一体何が起きているのか。鞘が発している光と剣の発している光が引き合うように伸びて、繋がった。剣が鞘の光に引かれ飛来して、鞘に収まった。さらに光は風のクリスタルと呼ばれた宝石に伸びて繋がった。 「剣とクリスタルが呼応している!?まさか!その剣は……」 クリスタルが飛来し、剣のガードの中心にハマり強烈な緑の光を発した。なんだ?何が起こったんだ!?剣を掴むと全体に風を纏っている感覚がした。剣を抜き、その風を払うように剣を振った。すると先ほど猛獣が放った風のように風が牙をむき、あらゆるものを切り裂いた。す、すごい。これならやれる!木の陰から出て猛獣の方を向き、剣を構えた。
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