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そしてオレは……、ギフトを持っていない。
カイトは両親とも火のギフトの持ち主。ランは母親が光のギフトの持ち主で父親は水のギフトの持ち主。この場合、両方のギフトを持っている場合もあるが、ランは光のギフトだけを受け継いだ。オレは両親ともギフトを持っていない。ギフトを持たずに産まれることは確定事項だったわけだ。ギフトに憧れたことがないといえば嘘になる。だがオレにも役目がある。
『人は役目を持って産まれてくる。役目を全うするのが最大の幸福であり、国民が健全に役目を果たす限り国は不自由のない生活を保障する』
この国の法律だ。どんなギフトを持とうが、ギフトがなかろうが、役目を与えてもらえ、不自由ない生活ができるんだ。だからギフトがなくても幸福なんだ。
オレ達は、10歳と14歳の2回、特性を見極められ生涯の役目である「ロール」を与えてもらえる。オレは、物心ついたばかりの子供の頃に祭りで剣術を披露する王宮剣士に憧れた。ギフトがなくてもできるロールだ。そこからカイトに付き合ってもらって剣術のマネごとをはじめた。それはずっと続き、いつしか同じ年代の誰にも負けないぐらい強くなれた。そのおかげでオレは14歳の時にゲート騎士団への入団が決まった。王宮剣士ではないが、街の治安を守るために剣術と体力が必要だ。ずっとやってきたことが認められたんだ。これほどの光栄はない。
「カイト、改めて言わせてくれ。剣の稽古に付き合ってくれて、ありがとな」
カイトがあきれたって顔をして言う。
「ん?なんだよいきなり。稽古に付き合ったつもりはないよ。僕も楽しんでやってたんだから。真面目な顔でありがとうなんて、ファルマーらしくないな」
「ハハハッ。似合わねぇことするもんじゃねぇな」
「まったくだよ」
2人で声を出して笑った。
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