シェイカー

1/1
前へ
/6ページ
次へ

シェイカー

Barには、人が集まる。 自宅のBarに人は集まらない。 けれども、酒瓶を集めることになる。 シェイカーを買い、自宅でBarを開店させると、いつのまにか、酒の瓶がタケノコのようにはえてくる。 あるひとりの男の行動を見てみよう。 おれは趣味をもたない。 家と仕事場を往復する毎日。 趣味は、家でウィスキーや焼酎を飲みながら、動画をみたり、ネットサーフィンしたりすることだろうか。 ある日のこと、家のこまごまとした消耗品を買いに100均によった。 生活に必要な消耗品を買い物にカゴにいれたあと、なにをするともなく、100均の店のなかをブラブラ歩いてた。 興味がわいた商品を手にとっては、棚にもどしながら、歩いていると、銀色に輝く商品が目に飛びこんできた。 映画やドラマなどの酒場でバーテンダーが、軽やかでリズミカルな音をたてる調理器具のシェイカーが売られている。 100円でシェイカーが買えるのかとビックリさせられた。 シェイカーを手にとってみると、想像よりも軽く、そして、ちいさいように感じられた。 それでも、Barで見るのとおなじ構造だった。 氷やお酒をいれられるように、中央あたりで分離でき、かわいらしい銀のフタもついてきている。 そして、お酒をそそぎいれる場所は、氷が飛びでないように8つほどの穴があいており、お酒だけをコップにそそげるようになっている。 重厚感はないが、それでもしっかりとBarなどの店でみるシェイカーとおなじ形をしている。 お値段は300円だった。 300円であれば、シェイカーをつかわなくなり、ホコリをかぶらせたとしてもフトコロはあまり痛まない。 ひとつ試しに買ってみるか。 こうして、ひとりの男は自宅Barの魅力にどっぷりとはまりこむ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加