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初めてのヒート
予定日よりも一日早くヒートがきたのは、アルファと同じ空間で生活していたからだろうか。
理由は分からないけれど、予定日の三日前から泊まらせてもらっていて良かったと心底思う。
朝の光で目覚めたばかりなのに、少し怠くて起き上がることが億劫だ。
ベッドの中で丸まりながら、こういう時どうすればいいのだろうと一人で考える。
ヒートの症状が出始めましたと、東条に報告に行くべきなのだろうか。だけどこんなに朝早くからお誘いするのは迷惑かもしれないし、自分からお願いするのは恥ずかしい。
こんなことで東条さんを起こすのは嫌。
嫌だけど、でも、どうしよう……。
こんなところに一人でいても、熱の逃し方が分からない。
ヒートが始まったばかりで、まだ全然我慢できる範囲だ。だけど平常と全く同じ状態ではないし、体が熱くてお腹の奥が疼く。
このままどんどん酷くなるのは知っているので、普段ならこの段階で抑制剤を服用していた。
しかし今回は抑制剤を使うなと東条から言われていて、手元に薬なんてない。
「……っう」
人の家でするの、駄目なことをしている気がする。
だけど東条を起こしにいってまで何かしてもらうのは無理で、自分でどうにかするしかない。
このくらいの疼きなら、一度軽く達しておけば少しは収まる気がする。
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