初めてのヒート

1/15
前へ
/113ページ
次へ

初めてのヒート

 予定日よりも一日早くヒートがきたのは、アルファと同じ空間で生活していたからだろうか。  理由は分からないけれど、予定日の三日前から泊まらせてもらっていて良かったと心底思う。  朝の光で目覚めたばかりなのに、少し怠くて起き上がることが億劫だ。  ベッドの中で丸まりながら、こういう時どうすればいいのだろうと一人で考える。  ヒートの症状が出始めましたと、東条に報告に行くべきなのだろうか。だけどこんなに朝早くからお誘いするのは迷惑かもしれないし、自分からお願いするのは恥ずかしい。  こんなことで東条さんを起こすのは嫌。  嫌だけど、でも、どうしよう……。  こんなところに一人でいても、熱の逃し方が分からない。  ヒートが始まったばかりで、まだ全然我慢できる範囲だ。だけど平常と全く同じ状態ではないし、体が熱くてお腹の奥が疼く。  このままどんどん酷くなるのは知っているので、普段ならこの段階で抑制剤を服用していた。  しかし今回は抑制剤を使うなと東条から言われていて、手元に薬なんてない。 「……っう」  人の家でするの、駄目なことをしている気がする。  だけど東条を起こしにいってまで何かしてもらうのは無理で、自分でどうにかするしかない。  このくらいの疼きなら、一度軽く達しておけば少しは収まる気がする。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

183人が本棚に入れています
本棚に追加