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つまりは、許されてないし、認められていないのだろう。
運命の番という事実に、私は楽観視しすぎていたかもしれない。
いくら運命が決めた番であっても、東条さん本人が欲しがってくれないと何の意味もない。
番になる契約は、アルファにしてもらわないといけないのだから。
「ん、似合ってる。危ないから絶対外すなよ」
「……っ」
危ない、なんて。酷い言い方だと思う。
不意に噛んで望んでもないのに番になったら困ると、そういう意味だろうか。
「返事は?」
「……うん、外さない」
由莉の返事に満足したように頷いて、首輪から東条の手が離れる。
快楽に溺れていて気付かなかったけど、どうして東条さんは平気なんだろう。
いつも通りで、ほとんど息なんて乱れてなくて、私だけが服を脱いでいる。
ヒート中のオメガが目の前にいるのに、フェロモンを感じて理性が揺れたりしないんだろうか。
私はまだ、東条さんが目の前にいるだけで体が疼いて仕方ないのに。
「……ごめんなさい。つづき、してください……」
ヒートが終わったら自分の気持ちを伝えて、東条さんの気持ちも知りたいって思っていた。
だけどそんなの、聞くまでもなく分かってしまった。
運命の定めた番だと分かったって、それだけ。
東条さんは私の事なんて、なんとも思っていないんだ。
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