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皮肉なことに、東条の唾液が体内に入ったことで、症状も少し落ち着いたのだろう。
精液ほどの効果はなくとも、運命の番が与えてくれる体液は、それだけで抑制剤以上の効果があった。
何度も達して疲れが溜まっていたこともあり、そのまま気絶するように由莉は目を閉じる。
気をやってしまった由莉に、東条は無理をさせるつもりはないらしい。
苦しそうに息を吐き、由莉の体を軽く拭いてから布団を被せて部屋を出た。
「……拷問か、これは」
部屋を出てから落ちた東条の独り言は、静まりかえった廊下に消えていく。
一度由莉の意識は落ちたが、こんな数時間で彼女のヒートが収まるわけがない。
“拷問”と称した行為があと数日続くことに深い溜息を吐き出し、東条も一度自室に戻っていった。
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