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そうだよなぁ、と思う。
普通はこういう食材を使って私が用意して、二人で食卓を囲むと思うよね。一人暮らしで自炊しているって以前話したし、そういう想像をするのは普通のことだ。
まさかそのまま口にできるものしか食べられない状態になるなんて、そんなこと思わないだろう。
幸い、まだ朝の六時である。
東条は自室で眠っているようで、起きてくる気配はない。
せめて最後の朝くらい、ちゃんとしたものを用意しよう。食材を無駄にするのも勿体ない。
とりあえず久しぶりにご飯を食べることにしようと決め、お米を研いで炊飯器にセットする。
朝食らしいメニューを考えながら冷蔵庫から食材を取り出し、味噌汁を作りながら別のコンロで鯖と卵を焼いた。
味噌汁には、痛むのが早そうな野菜と豚肉を適当に切って入れておいた。いつからあるのか分からないけれど、火を通せばまだ大丈夫だろう。
広いキッチンの使いやすさに感動しながら洗い物まで済ませ、東条が起きてくるのを待つ間にソファで一息つく。
こういう普通の同棲みたいなこと、ちゃんと出来たらよかったのに。
性処理という世話をしなくて良い分、普通に動物の世話をする方がまだマシなんじゃないかと思う。
自分がしていたこと、思い出したら泣きたくなってきた。
泣いたところで、東条さんに気を遣わせるだけだから泣かないけど。
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