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これ以上、私から想いを寄せられても困るだけだろうに。恐らく今のところは、取引先への接待と同じような感覚なのだろう。
東条さんは私の好意なんて全く知らないから、こうやって優しく、大事に扱ってもらっている。
いつか終わる関係だとしても、現状これだけ丁重に扱われているのだからもう十分だ。
これ以上を望むのは烏滸がましい。
ここまで重たくなってしまった気持ちを、東条さんに気付かせないようにしっかりと蓋をする。
こんなに良くしてもらっているのに、ここからまたヒートという不快な期間に付き合わせることになってしまうのだ。
してもらうばかりで、本当に何も返せる気がしない。
ヒートなんて迎えずに、このままこうして食事を続けていられたら、東条さんは笑っていてくれるのだろうか。
東条さんのことを考える度、なんだか泣きそうになって、薄っすらと視界が滲む。
予定日は明日だけど、いつ次のヒートがきてもおかしくない。せめて今日くらいは、保ってくれないと困る。
だからヒートになりかけてるなんて、気付きたくないのになぁ。
──少しずつ身体が熱くなっているのが、全部アルコールのせいだったらいいのに。
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