オメガ

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 新卒の由莉が働くことになったのは、老舗百貨店のサービスカウンターだ。  色んな企業のインターンシップに参加し、何百枚ものエントリーシートを書き、何回も面接会場に足を運んだ。  一体いくつの企業を受けたのか、自分でも数は覚えていない。  それでも由莉がもらえた内定は一社だけで、それも由莉が希望した職種とは全く別のものだった。  ヒートで定期的に休む必要があるようですし、納期があったり一人で抱える仕事は任せ難いですね。  弊社の百貨店のサービスカウンターはいつも多めに人員を配置しています。急な休みでも対応出来るので、そこに配属して良いなら採用したいのですがどうでしょうか。  最終面接で言われた言葉に、由莉は縋る思いで頷いていた。  何社受けてもお祈りのメールばっかりで、もう精神が限界だったのだ。  オメガの自分が雇ってもらえるならそれだけで十分だと、そんな思いで入社を決めて現在に至る。  大学で勉強した事とは全然違う分野で、思い描いていた将来とは全く違う仕事。  自分がベータだったら他の道に進んでいたのかも知れないと思うけれど、結局、それも含めて運命だったのだろう。  初出勤日、緊張した面持ちで東條百貨店サービスカウンターに立つ由莉の前に現れたのは、間違いなく由莉の運命の番だった。 
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