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二人の前に戻って、私は感情的にならずにちゃんと話ができるだろうか。
東条さんには好きな人と幸せになって欲しいって思ってたのに、実際その人を目の前にすると悲しくなってしまうなんて自分勝手すぎる。
キスとかセックスとか普通にしてたのかなって考えると、凄く嫌だって思ってしまった。
そんなこと、思う権利はもうないのに。
戻りたくないって気持ちになんとか蓋をして、急いでシャワーを浴びて新しい服に着替える。
一人でシャワーを浴びながら色々考えたけれど、私の考える事なんて何も意味がないなという結論に至った。
二人の関係に口を出す資格なんてないし、私は東条さんの言う事に従うだけ。
これ以上迷惑をかけないためにできる事は、早く戻って二人が私を待つ時間を短くすることくらいだ。
東条さんに分かって欲しくて必死に好きだって伝えたけど、今考えたらやっぱり迷惑な告白だっただろうなと思う。
気にさせてしまうようなら全部嘘でしたって訂正しよう。
重たい足を無理に引きずって脱衣所を出る。
真面目な話し合いにルームウェアで参加するのもどうかと思うが、脱衣所に用意されている衣類なんてこれしかないのだから仕方ない。無理に引っ張られて伸びてしまった服よりはマシだろう。
化粧もしないで美女の前に座るなんて本当は嫌だけど、これ以上待たせるのも気が引ける。一度酷い顔を晒している事に変わりはないし、髪を直せただけでも良かったと思わなくては。
そんな事を思いながら顔を上げたら、すぐ近くに一人で立っている女性を見つけてしまい由莉の足が止まる。
まるで待ち伏せでもされていたみたいで、思わずその場で固まってしまった。
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