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《優しさの裏》
長い性行為を終えて朝になってしまった。寝不足である河南ではあったが、白道が服を着替えさせてくれたり髪の毛を乾かしてくれたりしてくれた。
おぼろげな脳内ではあるが丁重に扱われていると、なんだが大事にされているような気分になる。
ドライヤーの熱風が止まり、ブラシで髪を梳かされる。
「よし、これで良いな。はいよ河南。これで良いな」
「お、おう……、サンキュー」
激しい性行為の後に優しすぎると妙に心地が良いような悪いような気分になる。だが白道は自慢げな表情で鏡の前に立った。
その表情は満足そうである。
「そんじゃあ、今度は俺な? メンテしてくれよ」
「……あんま寝てねぇんだけど、俺」
「良いじゃねぇか。たっぷりご奉仕はしたんだし」
顔を近づけられ、首元を弄られる河南は鏡に映る自分を見て羞恥心を伴わせた。イチャイチャとしている白道は含み笑いをしている。――してやられたと感じた。
「お前……、あとで覚えてろよ」
「大人は怖いの。とりあえずご主人様、メンテお・ね・がい」
頬にキスをされて赤面する河南は立ち上がりぶつぶつ独り言を呟きながら白道へ銃になるように命じる。
ニヒルに微笑んだ白道が白銀の銃に変化した。
変化した銃のメンテナンスをしていくと、少しホコリやら灰やらが筒の中に入り込んでいるので掃除をしていく。
『河南、良い具合に掃除してくれんじゃねぇの?』
「当たり前だ。銃の扱いには慣れてるんだ。……変態ウサギになる銃は初めてだけどな」
『ははっ、色気ムンムンなおじさまだろ?』
「……うっさい」
リンクした状態で話していけば銃のメンテナンスは終了した。カートリッジはやリボルバーは何の為にあるかを尋ねれば『弾丸はセックスの頻度で補充されんだよ』などと性的ファンタジー要素なことを告げられて再び顔を赤くした。
欄賀に連絡をして少し仮眠を取りアジトへと向かった。刺青を施された左足は今のところ痛みはない。
歩きながら隣で煙草を吹かしている白道を眺める。煙草を燻らせる様は次第に妥協できるようになってきた。
「ま~た話し合いか? 話し合いで火の村が優位に立てねぇだろ」
「いや、今回は欄賀の話によると違ぇらしい。……土の村関係らしいな」
「今度は土の村かよ」
げんなりとしている様子の白道に河南は「まぁ土の村は火の村と水の村の仲介役だからな」そう言い渡す。
アジトの前に着くと、水色の髪をなびかせた久須志が抱き着いてきた。
「カナ兄! 大ニュースだよ!」
「おいおい、なにがあった?」
すると久須志を抱き寄せた欄賀のフレーム眼鏡が輝いた。河南との火花を散らさせる。
白道は河南がショタコンではないかと疑い、肩を激しく落とした。それを久須志が見て首を横に傾けていたが。
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