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《仲間たち》
ゆらりゆらりと揺れる身体に抱かれながら、河南は夢を見ていた。昔の夢だ。
河南の家には両親が普通に居て、しかもウサギを飼っていた。白いウサギであったから名前はシロであった。安直な名前であるがよく懐いてくれていた。
そんなシロは両親と共に――殺されたのだ。両親は火の村の重役であったので狙われていたのだ。そこに巻き込まれたのが、シロだった。
「シロ……、シロ……、シロ……!」
血まみれの両親を見つめながら同じく血まみれのシロを泣きながら抱いた。――シロは冷たかった。
「……んぅ、嫌な夢、見た」
「あっ! カナ兄が起きたよっ! 欄賀に恵良!」
久須志の声が聞こえたということはここがアジトだということがわかる。だが自分は一体どうやって来たのだろうかとぼんやりとした脳内で長考する。
身体の周囲が肉体的に温かいのがわかった。
「河南、その……ウサギ耳の奴が、白道だってか? ――お前を抱き締めている奴」
「――えっ?」
スポーツ刈りで逞しいほどの肉体を持つ恵良に指さされると、自分の身体を抱いている白道がニヒルに笑う。恥ずかしさで赤面してしまった。
「おう、そうよ。恵良って言うんだな、よろしく」
「て、てめぇ……身体から離れろ!」
「嫌だね~」
だが力が強すぎて離れるにも離れないでいる河南に背後から軽い笑い声が聞こえた。その声にむっとする。
「ふふ、男性に色目を使うとは長としていただけませんね。ですが、私の自作小説にはちょうどいいかもしれません」
「欄賀……、てめぇはこの状況を見て俺がこいつに色目使ったかと思うか?」
「白道さんにはそれなりに聞かせてもらいましたからね。久須志と恵良以外は」
「なぁっ!???」
さらに顔を赤面させて白道を殴り込もうとするが、力でねじ伏せられる。情事のことに関しては欄賀には聞かれたくなかった。
「でもカナ兄、水の村に襲われたんでしょ? 大丈夫?」
「あぁ……平気だ。こいつが大げさすぎるんだよ」
「こいつじゃねぇ、白道だって」
鼻を鳴らしそのまま身体を白道に預ける河南の姿に、三人は微笑ましさを感じた。
河南が姫様抱っこで白道と共に現れて、水の村から襲撃を受けたと聞いたときには驚愕したものだ。
「ですが、どうします? 長が襲撃にあったんです。黙ってはいられないでしょう?」
久須志の身体を抱きながら紅茶を飲むフレーム眼鏡の欄賀を河南は鋭い瞳で見つめた。だが欄賀は慣れた様子で躱してくる。
欄賀と久須志の隣に恵良が座った。
「でも、自警団使って襲撃を行うようなものなら平和条約が無駄になるぞ? どうする、長」
「あぁ……そうだな。――これで仲間に水の村が居ればいいんだけどよ」
白道を仕方なく隣に座らせてから自警団、火炎である長の河南は神妙な表情を垣間見せる。
白道はそんな河南の表情にも惹かれつつあるのだ。容姿だけではなく、考え方にもリンクしたときに好感を持てたから。
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