優しい夫

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 私は仕事が終わって家に帰ってきた。仕事の疲れから弱々しい涙声が洩れた。 「ただいま」  私より早く仕事が終わった夫が笑顔で応えてくれた。 「おかえりなさい。お疲れ様。ゆっくり休んでね」  私は夫の言葉に泣き崩れそうだったけど、なんとか顔を上げて呟いた。 「今日は私より早く仕事が終わったんだね」 「うん。今日は早く終わったから由紀ちゃんが帰ってくるのをずっと待ってた」  今日は仕事で辛いことがあったけど、夫には言えなかった。  でも、ただいまと言って、おかえりなさいと迎えてくれる夫がいて救われた気持ちになった。  夫が作った夕食を二人で仲良く食べると、縁側で涼むことにした。  今夜はうっとりするような満月だ。  綺麗な月を眺めていると仕事の疲れが溢れ出てきて、涙がぽろりぽろりと瞳から溢れてきた。  夫は何も言わないで私を優しく抱きしめてくれた。  私はこんなにも素敵な夫がいて幸せだなと思った。夫の腕の中で心地よく眠りについた。
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