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第一章 ③
転属初日に行った地道な聞き込み捜査の成果は何一つでず、只々、徒労に終わっただけだった。
期待されて転属して来たはいいが、現場でもホシに繋がる物を見つける事が出来ず私は肩身の狭い思いをした。
署に戻ると即座に全員が会議室に集められた。
各班がお決まりの定例報告をする為だ。その役割は小川さんが担ってくれた。
遠回しではあるが小川さんは私が勃起刑事としての役割を全うする事は出来なかったと話すと、他の班がざわめき出した。
皆、手柄は欲しいだろうが、それ以上に私がどんな情報を得てくるか、そちらの事の方に期待していたらしかった。
溜め息や舌打ちが聞こえる中、小川さんは実に端的に本日、聞き込みで私達が周った場所などを伝えた。
「以上」
と言い終え席に着くと、わざとらしく聞こえるように周りの班の数名が文句を言い出した。
それでも私はこの事件のホシを捕まえる事は諦めないし捜査から手を引くつもりもなかった。
ただ周りの目は私の気持ちなど、おかまいなしに冷笑し続けた。
恐らく既に捜査班全員の心に私へ対する不信が芽生え始まているのだろう。
「泡沢君、何もそこまで落ち込まなくていい。転属初日で緊張もしていたのだろうしな。だから又、気持ちを入れ替えて明日から頑張ってくれ」
捜査主任のその一言で今日は解散となった。
「これ、行くか?」
小川さんがお猪口を口に運ぶ真似をした。
本音は飲みに行きたいのは山々だった。
だが今日の反省も込めてここは断る事にした。
「まぁ 構わねーが、今日の屈辱はここに置いて家にまで持ち帰るんじゃねーぞ」
小川さん泡沢の肩を叩き
「お先〜」といい、会議室から出て行った。
私は一旦、刑事課に戻り今日の報告書を作成した後、鞄を持ち千葉県警の先輩達に頭を下げてその場を辞した。
家に持ち帰るなと言われても、無理な話だった。
真っ暗な部屋に1人帰り明かりをつけると、そこには未開封のまま所狭しと置かれてある段ボールの山を見ると余計に気が滅入った。
シャワーを浴びて冷えたビールを流し込む。
コンビニに寄って買ったおつまみをつまみながら、私はチッチに電話をかけた。
だが忙しいのか直ぐに留守番電話に変わり私は何も言わずに電話を切った。
一体、何をやっているんだ。チッチに慰めて貰いたかったのか?つくづく情け無い奴だなと私は思った。
ここにはチッチはいないのだ。自力でシコり、犯人に繋がる何かを発見しなければならない。
小川さんにはあのように説明したが、それは咄嗟に口から出たデマカセだった。
実際、自分自身でもチンポが無反応だった原因はわからない。ホシはこの世に存在していないゴーストじゃないのか?なんて馬鹿な事を思ったりもした。
それほどまで無反応は驚きだったのだ。勃たなかったのには必ず理由がある筈だった。幽霊に人体は解体出来やしない。私は再度、ホームレスに話を聞いてみるべきではないかと思った。
ひょっとしたら、ホシに繋がる何かを拾い隠し持っているかもしれない。私は部屋の明かりはそのままに床に直に敷いた薄い布団の上に寝転がり静かに目を閉じた。
気持ちも新たに!なんてスッキリした目覚めを迎える事は出来なかった。
それでも無理矢理に身体を起こし、皮膚が痛くなるほどの熱いシャワーを浴びた。
その後で水で顔をあらり、頬をピシャリと叩いた。
両手の跡がつくほど強く叩いた。よし!と言い聞かせ鏡をみる。
大丈夫だ。そういいながチンポに触れた。触れると真っ先に脳裏に浮かぶのはチッチの身体と分厚い唇だった。
直ぐに勃起すると無意識にしごいていた。やっぱり私はチッチに惚れている。人間性とかチッチの性格だとかではない。顔はかなりタイプだが、私が惚れているのはチッチの底なしの性欲とその身体だった。
チッチは仕事の一環として私のチンポをしごいたり咥えていたのかも知れないが、私の方はその時だけはチッチの身体に溺れきっていた。
本音をいえばチッチを求める欲情は止まる事はなかった。24時間、毎日抱きたいと思っていた。
だが辛うじて私の欲望を抑止出来たのは刑事という職に誇りを持っていたからだ。
私の中に犯罪に対する怒りが根強くあるからだろう。
臭い事をいうなら私なりの正義ってやつだ。
だから捜査の為にチッチの手を口をその豊満な肉体に身を委ねていたが、それもこれもチッチ自身が私が捜査に全力で向かえるよう手助けをしたに過ぎないのだ。だからプライベートでチッチに抜いてもらったり抱いた事は、チッチに無理矢理有給を使わされたあの3日3晩の時しかなかった。
私はチッチ!と声に出しながら手に力を入れた。思い切りしごいた。便器に精液が飛び散った。
それでも治らず手を止める事が出来なかった。
2回目が出るとようやく心に落ち着きを取り戻す事が出来た。身体は怠いが少しだけモヤモヤした気持ちが晴れた気がした。
辺りに飛び散った精液をトイレットペーパーで拭きながら、決意を新たにする。必ずホシに繋がる何かを見つけてやる。
先ずは目撃者であるホームレスに会って話を聞くべきだ。署に着いたら小川さんにそう進言してみよう。
私はトイレットペーパーを流し、萎んだペニスを指で弾きながらそう自分に言い聞かせた。
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