君のハートが欲しいのです

3/3
前へ
/3ページ
次へ
◇  地球に存在する生命体には血液と呼ばれるものがあり、それをエネルギー源にして活動しているらしい。そんな中、『血も涙もない』といわれていた生命体を発見した。  いったい、どういうことなのだろうと気になったので気絶させて捕獲してみた。ワクワクしながら暴れないように台へ固定し、意識が回復したところでレーザーを照射してみた。 「痛いッ、痛い痛い痛い痛い痛い痛いッッ!」 「やめてッッ! なんでこんなことをするのッ!」 「嫌ッ、死にたくないッ嫌ァァァァァァァッ!」  すると、こちらを蔑むように睨みながら何か叫んでいた。何だかこちらが悪いと言われているみたいで不愉快な気分になる。ただ、血も涙もない生命体がどんなものであるか気になって調べているというだけだというのに。  しばらくは拘束具を揺らしながら暴れていたが、やがてピクピクと痙攣したあと息絶えた。期待に胸を膨らませながら死体を覗き込んでみる。 「なんだ、”ある”じゃないか」  青ざめた体からは、赤い血が流れていた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加