鬼が出る鳥居

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鬼が出る鳥居

 岩手と秋田の県境。   遠くに見える山脈の狭間にあるのは大きな鳥居。  ただ、その石の鳥居があるだけで、奥には境内もなく、奥に通ずる道も階段すら存在しない。  山自体が「神」だからなのかと村の人たちに聞いてみたが、昔から存在するというだけで誰も何も語らなかった。  しばらくして、一人の老婆と知り合い教えてもらった。  遠い昔、あの鳥居の奥からは「鬼」が現れたと……。  その鬼は最後、退治されて去っていった。  今でも岩手県盛岡市の「三ツ石神社」には、その鬼が去る際に残した「鬼の手形」が有り、岩には手形が刻まれているらしい。  もしかして、あの鳥居をくぐれば鬼の住む世界へ行けるのであろうか?  俺は十日後、その鳥居をくぐることになる……。
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